『働くということ A』
〜 やりたいことは、簡単には見つからない 〜



学生時代にブランド物で身を固めるのが当たり前という生活は、私は分不相応だと思っています。自分で稼いだお金だからこそ、やっと買えたうれしさや大切に扱う気持ちも生まれてくると考えるからです。

大学のビジネスマナーの授業で、「学生と社会人の違い」というテーマで、グループ・ディスカッションをしました。親元から通っている学生と、親からの仕送りで一人暮らしを始めている学生では様々な点で違いを感じます。今の時代、お金を出せば何でも手に入るとも言えますが、家にいれば何不自由なく生活できます。親から学費、本代、交通費、小遣いをもらって当たり前、せいぜい自分で出すのは携帯電話の料金くらい。留学生、一人暮らしの学生は、電話代はもとより交通費、家賃、食費、水道光熱費、被服費、小遣いまで、親からの仕送りと自分のアルバイトで賄わなくてはなりません。お金のことだけでなく、毎日鍵をかけて部屋を出る、暗い部屋へ帰る。洗濯も掃除も自分がしなければ快適な生活は送れない。これらのことから多くの学生はお金の大切さや親に感謝ができるようになり、この時点で社会の一員として仲間入りをします。

以前テレビで紹介された『ニートの二人』の話がずっと気になっています。
20代前半の女性。
いじめから引きこもりになり、親は腫れ物に触るように我が子と関わってきた、いえ関わらずにきた。父親が亡くなり、母親は自分の生活費のほかに5時から8時までさらにパートで働き、娘の望む快適な一人暮らしのために毎月25万円を仕送りしているという。彼女は友達もなく人との関わりも持たずに生活している。外出は一日に一度、深夜コンビニへ食べる物を買いに行くときだけ。
親は働けとは言わずに、幸せになることだけを考えてくれている、それが当たり前だと思っている、と彼女。いじめ、引きこもりにした社会が悪い・・・と。

21歳の男性。
進学高校を中退して以来ずっと何もしないで家にいる。家にいれば何も不自由はない。好きなときに寝起きし台所にあるものを食べる。親は無関心。面倒くさいことは何もしたくない。日課は、居酒屋でアルバイトをしている彼女の帰りを待ち、深夜一時半その部屋へ行き翌日の昼まで一緒に過すこと。このままではいけない、やりたいことを探したいけれどまだ見つからない。履歴書一枚を書くのが面倒、たとえアルバイトが決まっても、一日も出勤したことがないという。
これでは生きている喜びや楽しさをも放棄しているように聞こえてしまう。

自分のやりたいことを仕事にするというのは、それほど簡単ではありません。

それまでの長い下積み生活がエネルギーにもなりますし、日々をまじめに取り組んで、気づいたら仕事を楽しんでいたと言うこともあるでしょうし、環境、タイミングや運も関係すると思われます。

「仕事が忙しいことに感謝でき、仕事を楽しめる」ということは、誰にでも理解できることではないと思いますが、目の前のチャンスを逃がさず、「運」を味方につけて、しかし日々必要なことにおいては小さなことを一つ一つ全うし、仕事や生活、人生を楽しめるようにありたいですね。



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