「おみやげ考」 

 
市役所 秘書歴7年 M.S.



市役所への訪問者は実にさまざまで、毎日お見えになるたくさんの地域住民のほか、国や県の関係者、企業の方、新聞記者、市長にお花を届けに来てくれる特別なお客様『幼稚園児』もいます。

お客様をお迎えする市役所の秘書として、日ごろ用意する「おみやげ」についてのお話をいたします。

おみやげの情報はテレビ、新聞、雑誌などはもとより、何気ない会話の中にもたくさんありますが、外出時にデパートを歩くときにも「老舗の新製品」「季節のもの」「市のPRになりそうなもの」など求めて、情報の引き出しに入れるようにしています。

おみやげは「もらって嬉しいもの」が基本です。お子さんのいないお宅に好みも知らずに沢山のお菓子をお届けしたり、アルコールを召し上がらない方に高級ワインを差し上げても、喜んでいただけません。また酒席のおみやげや遠くへお帰りになる場合は、「かさばらず、軽いもの」を考えています。

少し前のことですが、当市と交流のヨーロッパのある国の要人がお見えになり、このお客様はもちろんですが、同行された通訳の方にもおみやげを用意することになりました。この方は日本人の女性でしたので、県特産の「銀線の細工物のブローチ」を用意しました。これは、とても手の込んだもので私自身なかなか買えない高価なものですが、きっと喜んでいただけると思い、上司に了解を取って用意しました。

ところが、滞在期間中のフリータイムに同行した担当者に聞いた話では、通訳の女性から「このブローチを買ったお店に連れて行って欲しい」と言われて案内したところ、彼女はブローチを返品し、それに見合う買い物をしたというのです。買い物の中身は、麦茶のパック、インスタントの味噌汁、日本酒などほとんどが日本の食べ物だったそうです。

この話を聞き、少し残念にも思いましたが、『物の価値』ばかりに意識がいき、「お客様にとって、もらって嬉しいもの」への配慮が足りなかったことに気付きました。

おみやげは、こちらの気持ちを差し上げるものですので、相手のご要望を聞くまでもないのですが、事前にその方の仕事や生活環境、お国の事情なども踏まえて用意するものと知り、大変勉強になりました。次に来日されたときは「当市特産のうどん」を用意しました。

ちなみに、市長から幼稚園児へのおみやげは「きれいな折り紙」、喜んでいただいています。





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