「失礼ですが・・・」 

 
総合商社勤務 秘書歴7年 Y.F.




4月になり新人秘書を迎えるころになると、秘書になりたてのころの失敗を思い出します。

私が秘書になったのは、入社4年目の春のことでした。それまでは海外営業を担当していましたので、秘書としては全くの新人で、何から何まで分からないことだらけでした。

秘書として初めて担当したのは、それまでの所属部門の海外営業本部長であるK常務でしたが、同じ会社であっても営業と秘書では仕事の内容がこれほど違うものかと驚いたり、なさけなくなったりしたものでした。

前任の秘書から引継ぎを受け、いよいよ独り立ちした最初の週、外出中の上司のところに「K君いるかな」と内線電話がかかってきました。
常務のことを君付けするのですから、上司の上司か、社内でかなり偉い方だと思いながら、「申し訳ございません。ただ今、外出しておりまして、あと30分ほどで戻ってくる予定になっておりますので、戻り次第ご連絡させていただきます」と応対をしました。

「Mだけどお願い」と言われて電話を切られそうになったのです。
「M」だけではわからないので、慌てて「失礼でございますが、どちらのM様でいらっしゃいますか」と伺ったところ、一瞬の沈黙の後、けげんそうな声で「副社長のMだけど……」。私が恐縮して、これまた慌てて「た、た、大変失礼いたしました」と謝ったのは言うまでもありません。

副社長は、私が新米秘書であることはもちろん知らないことですし、また、そんなことはビジネスの場においては関係ありません。
言葉遣いという点からは、私の電話応対に問題はなかったかもしれませんが、それ以前の問題があったのです。

入社4年目を迎えているのですから、副社長の名前は当然知っておかなくてはならないことですが、それまでの仕事では、副社長の名前を知らなくても仕事に支障はありませんでした。秘書としては最低限、役員のお顔と名前を覚えておかなければ失礼に当たるばかりでなく、仕事ができないということがよくわかりました。

それは社内に限らず、社外の方でも同じことです。かかってきた外線電話の相手の名前が聞き取りにくかったので聞き返してみたら、上司のところへよく見える顔見知りの取引先の方だったというような失礼なこともありました。

秘書の対応いかんで、上司の印象、ひいては会社の印象も悪くなりかねないということから考えると、まさに「秘書は会社の顔」であることを知った最初の出来事(失敗)でした。
また秘書という仕事の責任を痛感し、やりがいを感じ始めたのもこのころでした。





Copyright (c) 2001 Cross Point Ladies. All rights reserved.


「知りたい!秘書のノウハウ」現役秘書のHOTなコラム Buck Numberに戻る