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書籍名
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『わかったつもり −読解力がつかない本当の理由−』
著者:西林克彦
光文社(2005/9) 735円
ISBN:978-4334033224
http://www.kobunsha.com/top.html
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こんな本
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後から考えて不充分だというわかり方を、「わかったつもり」と著者は呼ぶ。この「わかったつもり」の状態は、ひとつの「わかった」状態であるから、「わからない部分が見つからない」という意味で安定している。わからない場合には、すぐ探索する意識が働くが、「わからない部分が見つからない」と、その先を探索しようとしないのが人間である。
「わかる」から「よりわかる」に到る過程を妨害するのが、「わかったつもり」である。「わかったつもり」は、「読む」という行為の障害になる。
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読みが深まら
ないのは
なぜか?
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試しに次の文章を読んでみよう。
「二十四節気は、太陰太陽暦を使用してきた中国の暦法の場合、各月を決定し季節を知るうえでの目印であった。」(平凡社『世界大百科事典』第2版)
この文章は二十四節気の説明である。二十四節気は、テレビの天気予報でもよく使われるようになったことから、ずいぶん馴染みがあることばになってきた。しかし、この説明はどうだろう。暦に関して知識がある人ならともかく、多くの人にとっては、わからないのではないか。
純粋な太陰暦では、月の満ち欠けを基準にした1か月は29日半あまりで、
1年が354日となる。太陽を基準とした太陽暦の1年に比べて11日ほど短くなる。この日付と季節のずれを解消するために、約3年に
1回、余分な1か月閏月を挿入する。閏月を19年に7回挿入すると、誤差なく暦を運用できる。この閏月をどこに置くかを決めるため、「春分のある月が旧暦の二月」というように各月を決定するために、二十四節気が使われる。
このような知識があって、先の文章はかなりの程度「わかる」ようになる。「わからない」から「わかる」に至る作業は、わからないことを調べていくだけだから、実は見えやすい。しかし、先の文章を「わかったつもり」でいると、浅いわかり方から抜け出せずに、より深くわかろうという必要性を感じなくなってしまう。
つまり、浅いわかり方から抜け出すのが困難なのは、その状態が「わからない」からではなくて、「わかった」状態(=わかったつもり)だから、である。
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「きれいごと」
には要注意
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会話で、自分が「少し調子の乗ったことを言っているな。具体例をあげろと言われると困るかな」と感じることはないだろうか。これは、ある事柄に関する知識(スキーマ)を、使って「わかったつもり」にさせる魔物なのだ。
「子供は親を恋しがるものだ」というような、ステレオタイプの考え方や知識を、文章を読んで概略や解釈を述べるときに、自分で勝手に決めて使ってしまう。前後の文脈や、部分の関係を見逃してしまう。まさに、「わかったつもり」になってしまう。
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チェック
リスト
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本書では、「わかったつもり」という状態が、「読み」を深めるために大きな障害になること、どのようなときに「わかったつもり」になりやすいかを知っておくことを、述べている。読むという行為の一つの側面にスポットを当てたにすぎないが、物事の考え方に通じるものである。チェックリストとして、次のような巻末のまとめも活用できる。
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@
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文章や文において、その部分間に関連がつかないと、「わからない」という状態が生じる。
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A
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部分間に関連がつくと、「わかった」という状態が生じる。
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B
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部分間の関連が、以前より、より緊密なものになると、「よりわかった」「よりよく読めた」という状態になる。
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C
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「部分間の関連をつけるために、必ずしも文中に記述のないことがらに関する知識を、私たちは持ち出して使っている。
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これらの他にも、文脈のはたらき、読みの過程、スキーマについてのチェックもできる。
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読解力の低下
を防ぐために
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2004年12月、PISA(OECD「生徒の学習到達度調査」)の結果が公表され、各種メディアで「読解力低下」が大々的に報じられた。読解力が、ビジネスや日常において、必要であることは間違いない。本書を読めば、真の読解力を考える一助が得られるはずだ。
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