ことばを書き、ことばを読み、人に何かを伝えていくこと。これが私のミッションです。
先人から受けつぐ知識や理論をビジネスの場で伝え、生活から生まれる感動を表現にして伝えています。
先日、表現活動の一つである、演劇作品を上演しました。プロデュース公演という形をとり、役者やスタッフを集めて、作品を表現しはじめて、第2回目の公演でした。私は戯曲(上演のための台本)を書き、メンバーと協同で演出をしました。私たちには、共通の思いがあります。全員で作品を創り、お客様に観てもらい、お客様に何かしらの感動を伝えたい、という思いです。この思いは、すべてをことばで表現できません。だからこそ、演劇という芸術活動を選んでいます。
いざ創作していくと、いろいろな問題が起こります。お客様に伝えるという思いは一つのはずなのに、メンバーのコミュニケーションがうまくいかず、創作そのものが進まないことがあります。
たとえば、演出からある役者に「この役は、明るくしてほしい」という要望が出ます。要望を出した演出は、次の演技では役者が明るくなることを待っています。役者は、演出の要望に答えようと、明るい演技をします。次の稽古では、イキイキと創作が進むはずです。でも実際は、失望した演出と、何度も同じことを言われる役者が、そこにいます。
この問題は簡単に解決しました。演出のイメージする「明るい」と、役者のイメージする「明るい」が違っていたのです。演出は、まるでお笑い芸人のような、人を楽しく笑わせる明るさをイメージし、役者は、イギリス紳士のような、ウィットに富んだ会話の明るさをイメージしていました。すれ違っていた、「明るい」ということばのイメージが共有できれば、外に表現する形も共有できるようになります。
ことばにできない感動やイメージを伝えたいはずの私たちが、ことばにとらわれていたとは大笑いです。私も、自分の書いた戯曲を守ろうとするあまり、役者の指摘を聞かなかったことがありました。書いたことばにこだわって、人の思いを無視していたのです。これでは、お客様に私たちの思いが伝わるはずがありません。大切なことは、ことばではなく、ことばに託した人の思いであるということを、私が一番学びました。
ことばは翼を持っています。人の思いを乗せて、時空を駆け抜けていきます。こうやって何千年と、人はつながっていくのでしょう。ことばを最大限に尽くすことは当然で、そこからやっと見えてくるものがあります。そして、それでも伝えきれない、あふれる思いを表現したいと考えます。ともに創作しているメンバーに、お客様に、思いは必ず伝わると信じています。ことばなんていらない、いやいや、ことばがあればこそ、という試行錯誤の繰り返しを、楽しみたいと思います。
Cross Pointスタッフ M.H. |